マニホールドブロックとは

マニホールドブロックとは金属(ステンレスやアルミなど)のブロック内に圧油の流路があり、ブロックの各面にポートがある部品のことをいいます。マニホールドブロックに油圧部品を取り付ければ配管が不要になり、省スペース化に寄与するのです。

油圧部品の中には、油圧回路に仕事をさせるための主となる部品があります。たとえば、複動シリンダーに仕事をさせたい場合、油圧タンクの圧油を油圧ポンプでポンプアップし、流量制御弁を通って圧力制御弁に到達します。

圧力制御弁の先には油圧シリンダーがあり、油圧ポンプと流量制御弁の間から分岐した先には圧力制御弁があります。そして、一定の圧力に達して圧力制御弁の流路が開くと、圧油はタンクへと戻ります。

しかし、これらの部品だけで油圧回路は完成しません。各部品を繋ぐ油圧ホースや継手が必要なのです。ただ、油圧ユニットには小型化・省スペース化が求められており、特に車両の場合は限られたスペースに油圧部品とホース類(配管)を収めないといけません。その省スペース化に貢献するのがマニホールドブロックです。

マニホールドブロックの仕組みと構造

マニホールドブロックは一言で言えば、各面に開けられたポート同士がブロック内の流路で繋がっているだけの単純な構造です。
市販のマニホールドブロックを購入する場合は、決まった流路デザインの中から選ぶことになります。流路デザインだけでなくポートの位置やピッチが決まっているため、使用する油圧部品によっては取り付ける面が合わなかったり、ポートのピッチが狭くて油圧部品どうしが干渉したりする可能性があります。そのような時は弊社のような加工業者に製作をご依頼ください。

マニホールドブロックの製作を依頼するには、次の情報が必要です。

  • 接続する油圧部品の寸法
  • 接続する油圧部品の取り付け位置
  • 接続する油圧部品の流路の径
  • 接続する油圧部品の配管ルート(流路のルート)
  • 油圧回路の設定圧力

以上の情報から図面(部品図)を作成して弊社にご依頼いただければ、オーダーメイドでマニホールドブロックを作成いたします。
しかし、流路の径や長さ、そして油圧部品の取り付け位置によっては加工が難しい場合もあります。部品図が完成した時点でご連絡いただだければ、製作可能であるか判断しご連絡致します。

完成したマニホールドブロックを組み付ける際には目視検査も大切です。金属を加工(切削・穴あけ)すると、かならずバリやカエリができます。通常なら加工後にバリやカエリを除去しますが、まれに除去しきれていない場合があります。
この状態で使用すると、バリやカエリが取れて圧油中に混入する可能性があります(圧油中の汚染物質をコンタミといいます)。圧油中にコンタミが混入すると、油圧部品の寿命を大幅に縮める可能性があります。そのため、弊社ではマニホールドブロックを接続する前に必ずバリやカエリの有無を確認し、バリやカエリがあればエアブローなどで除去するようにしています。

マニホールドブロックに油圧部品を組み付ける際にもコンタミが混入するリスクがあります。ポートはテーピングなどで塞いでおき、油圧部品を組み付ける直前に外すことで、コンタミが混入するリスクを下げることができます。

マニホールドブロックの種類(油圧、空圧)

マニホールドブロックは油圧回路だけで使用されるものではありません。空圧回路にも、油圧回路と同様にマニホールドブロックがあります。目的や構造はほぼ同じであり、見た目には違いが分かりづらいものです。

しかし、油圧と空圧では作動圧力がまったく異なります。空圧回路の設定圧力は最大でも0.7MPa程度ですが、油圧回路の設定圧力は最大35MPa程度あります。
そのため、マニホールドブロックを設計する際には流路の径やスパン、そして残る肉の厚さに注意が必要です。また、市販のマニホールドブロックを購入する場合も、作動流体の種類や耐圧力を確認し、心配であれば圧油を通して動作確認するようにしてください。

加工業者にマニホールドブロックの製作を依頼する場合は、部品図中に使用する作動流体や回路の設定圧力も記載するといいでしょう。またステンレス(SUS304やSUS316など)の場合表面処理は必要ありませんが、鉄(SS400など)の場合は腐食防止のために表面処理が必要となります。部品図中での指示を忘れると使用環境下で腐食するマニホールドブロックができてしまうため、部品図の確認は必ず複数人で行うようにしてください。

マニホールドブロックの製造事例

シーケンスバルブ

特徴
マニホールドブロック製作+ソレノイドバルブとの組立。
ロット
月産5個
大きさ
108×78×52(マニホールドブロックサイズ)
材質
S45C
種類
油圧機器

マニホールドベース

特徴
空圧用マニホールドベース。交差穴多数あり。バリ除去。アルマイト仕上げ。
ロット
月産50個
大きさ
475×75×6
材質
A2017
種類
工作機械向け空圧機器部品

マニホールド(アルミ)

特徴
空圧用マニホールド。交差穴多数あり。
ロット
月産100個
大きさ
69×46×30
材質
A5052
種類
空圧機器部品

マニホールド(デンスバー、鉄)

特徴
油圧バルブ用マニホールド。総型カッター使用。
ロット
月産100個
大きさ
78×76×80
材質
デンスバー
種類
油圧機器部品

マニホールドブロックの製造ならシマワへお任せください

マニホールドブロックには配管スペースを省略したり、配管からの油漏れ防止に役立つ機能があります。また、油圧回路は設定圧力を考慮して設計する必要があります。

株式会社シマワでは、マニホールドブロックの調達をお手伝いします。お見積りや技術的な相談がありましたら、ホームページのお問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。